永遠の一瞬   by まめたろう





いきなり親友にのしかかられ、情欲にけむった顔で近づかれても
見返す丹羽の瞳には驚きも熱もない。

お前はいつもそうだ、哲也。
中嶋は苦い気持ちで僅かに眉をしかめた。

『王様』と周りはお前を呼ぶ。
親しみをこめて。
中には揶揄の意味合いをこめる者もいるだろう。
無神経とも受け取れる鷹揚さが、この学園の生徒の大半にお前の庇護のもとにいると感じさせる。
その居心地のよさにお前の翼の下から抜け出そうと考える者はいないだろう。
けれど俺は知っている。その眠れる獅子のような態度が実は偽りであるということを。
相手を安心させながら、お前はその実自分の懐には一歩も踏み込ませようとはしない。
お前の中の内なるお前はいつも冷静に周りを見ている。
誰にも心を許すことなく
まさに『王』として。

一番近くにいる俺の心など、本当は手に取るようにわかるのだろう?
お前に焦がれお前に追いつきたいと伸ばした手が届かずに
何度疲れおち何度またのばされたか。
みっともなくお前に支配されてしまいたい欲望と自尊心がいかにせめぎあっていたか。

「…わかっている、筈だ。哲也」

至近距離から中嶋は囁く。
冷徹な瞳は揺るぎもしない。視線を逸らすことも、受け入れることも。

わずかに震える中嶋の唇はゆっくりと丹羽に触れた。





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