11月のライスシャワー   by まめたろう






ここのところ来ていた寒気のためか空気は冷たく乾いている。
風が吹くたびに枯れ葉がざらざらと舞い落ちる。
丹羽はいつも通り上機嫌そうに。
中嶋はいつもながら不機嫌な顔で。
気の早いクリスマスの装飾に彩られた街を歩いていた。

「ヒデ!」
横を歩いていた丹羽が勢いよく振り向く。
中嶋がそんな丹羽を横目で見るにとどめたのは寒かったからだ。
「笑え」
丹羽の硬い指先が中嶋の頬をつまむ。
突然口を横に引き延ばされて中嶋は不愉快そうに眉を寄せた。
「いーあー」
丹羽、と言ったのだろう。
地をはうような低い響きも、閉じることの出来ない口から発せられると間が向けた音にしかならない。
そんな中嶋の様子をくしゃくしゃの笑顔で丹羽が見つめる。
「お前、笑顔にあわねーなー」
わははとぞんざいな笑い声をあげて。
引っ張られたままの中嶋の唇に丹羽はすばやく口づけた。
「い…?!」
丹、と言ったつもりだがやはり格好つかない。
指を払いのけることも忘れ、中嶋はただ目を見開いて目の前の精悍な顔に見とれた。
頬が心なしか熱い気がするのは気のせいだ。そう思いたい。
「ぶっさいくだなー」
目の前の笑顔が憎い。
小さい子供を見つめるような視線はやめて欲しい。
わずかな意趣返しに額をぶつけると、近くなった距離になおめまいを感じる。
寒さも感じない。
世界は丹羽の目の中にあるようだ。
「誕生日おめでとうだ。ひで」
甘い声にくすぐられるように頷きながら、
中嶋には舞い落ちる枯れ葉がまるでライスシャワーのように感じられた。







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